性感染症(STD) について| 岡山市の産婦人科はくにかたウィメンズクリニック

性感染症(STD) について

性感染症(STD)とは?

セックスによって感染する病気の総称を性感染症(STD)と呼びます。
特別な人たちだけがかかる別扱いするような病気ではなく、今や性生活をもつ人なら誰がかかっても決して不思議ではない感染症となっています。
近年、増加傾向にあり、女性の20~24歳で16人に1人、15~19歳で21人に1人が感染しているとの報告があります。
この病気の原因はウイルスや細菌など様々で、たった1回のセックスでも感染してしまう可能性もあります。決して他人ごとではありません。

性感染症(STD)の種類は?

性感染症には、以下の病気などがあります。
(病名をクリックすると症状、検査、治療などの説明があります。)

●クラミジア感染症
●淋病
●性器ヘルペス
●尖圭コンジローマ
●カンジダ腟炎
●トリコモナス腟炎
●梅毒

性感染症(STD)の症状は?

性感染症にかかると、おりものに変化があらわれます。その他、外陰部の痛みやかゆみ、できものなどがあれば感染の可能性が高まります。日頃からおりものの色や量などをチェックして、おかしいと感じたら早めに診察を受けるようにしましょう。「恥ずかしいから…」とそのまま放っておくと知らず知らずのうちに進行し、不妊症の原因になったり妊娠している場合は赤ちゃんに危険が及ぶこともあります。

性感染症(STD)の検査と治療

性感染症は、おりものや血液の検査によって診断することができます。治療には腟坐薬、軟膏、内服薬などを使用します。病気によっては治りにくいものや再発をくり返すものもあります。完全に治るまで10日~2週間、長いものだと数ヵ月程度かかりますが医師の指示に従って根気よく治療を行います。
性感染症にかかっていることがわかったら、必ずパートナーに話して検査を受けてもらうようにしましょう。仮にあなたが治ったとしても、また相手からうつされてしまっては何の意味もありません。性感染症の治療の原則は“パートナーと一緒に治療する”ことです。

性感染症(STD)の予防

性感染症の予防方法は、コンドームを使用して粘膜、体液などの直接の接触をなくすことです。 コンドームは性行為の初めから終わりまで必ず装着することなど、コンドームの注意書きにしたがって使用してください。
また、性行為の相手を限定しましょう。不特定多数とのセックスは、それだけ感染する機会を増やしているということになります。
そして、次のことに注意をしましょう。

・性行為前後にシャワーを浴びる
・排尿・排便をすませる
・パートナーの性器を確認しあう
・パートナーの性器を傷つけない
・生理中、屋外で性行為をしない

以上のことなどを日ごろから注意することで、感染経路を絶つことができるのです。
幸いなことに、性感染症の多くは早めに発見して早めに治療すればきちんと治すことができます。正しい知識を身に付けて自分の体は自分で守りましょう。

性感染症の種類について

クラミジア感染症について

クラミジア感染症とは?

目の病気であるトラコーマと同じ種類の微生物が原因で起こる病気です。
セックスによって、腟から子宮内に感染しますが、オーラルセックスでも感染しのどに炎症を発生させます。

症状

約3日~1週間ほどの潜伏期間のあと、粘液状のおりものが増え、下腹痛や不正出血、 まれに右上腹部痛をともなうこともありますが、感染者の約8割は自覚症状がありません。このため、気づかないうちに病気が進行するケースが多いようです。
放置しておくと卵管炎や骨盤内感染症を起こして不妊症や子宮外妊娠につながる可能性があります。また、感染したまま妊娠すると分娩時に新生児に感染して結膜炎や肺炎を起こす危険があります。

検査

腟や子宮などの粘膜内のクラミジアの存在を調べる抗原検査と、クラミジアに反応して血液中にできた抗体を調べる血液検査があります。抗原検査は腟や子宮のおりものを一部を採取して行います。

治療

抗生物質の服用で1~2週間ほどで治ります。仮に口中に感染している場合も同じ薬で治療します。

淋病について

淋病とは?

淋菌という細菌が、キスやセックスなど粘膜の接触により感染します。オーラルセックスが一般的になった近年では、女性ののどから淋菌が検出されるケースも増えてきているようです。男性の場合は比較的強い痛みなど症状が出やすく、比較的早期に治療を受けるケースが多くなっています。

症状

感染して2~7日で症状が出始めます。男性は尿道口がただれてウミが出たり、排尿の時に激しい痛みを感じたりします。女性の場合は、腟から黄色いおりものが出るようになり、外陰部が赤く腫れたり、かゆくなったりするケースもあります。ただ、あまり症状が出ないまま慢性化させてしまうことも少なくありません。初期の感染に気づかずに症状が進んでしまうと、淋菌性腟炎、子宮内膜炎、卵管炎の発病をまねき下腹部の激しい痛みを引き起こすことになります。子宮外妊娠や不妊症の原因となることもあります。のどに感染した場合は咽頭炎を起こします。

検査

検査方法は、おりものを検査し淋菌の有無を確認します。男性は尿道の淋菌の有無を調べます。必ずパートナーとともに検査を受けるようにしましょう。

治療

抗生物質を注射するか内服します。 約1週間で治りますが、途中で治ったと思って治療を投げ出してしまうと、抵抗力の強い淋菌が出現する場合があります。完治するまではセックス、飲酒を控えましょう。

性器ヘルペスについて

性器ヘルペスとは?

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染でおこる病気です。 最近では20歳代の感染が多いと言われています。ヘルペスは、目や口の上半身や性器などの下半身に感染しますが、中でも性器に感染したものを性器ヘルペスと呼びます。その多くはセックスによって感染するので性感染症の1つと呼ばれています。 直接セックスから感染する以外にも疲れていたり体調が悪いときにおこることもあります。妊娠中にこの病気に感染すると出産時に産道で感染する恐れがあります。また、今は症状がなくても疲れているときや抗生物質を服用するなど身体の抵抗力(免疫力)が低下することで再発することもあります。

症状

初感染の場合は3日~7日の潜伏期間をおいて症状が現れます。発熱や倦怠感が起こり、次に米粒大(1mm~2mm)の水ぶくれが、女性は外陰部や腟に、男性は亀頭包皮にできます。水ぶくれはすぐに破れ、じくじくした潰瘍へと変化します。下着が触れたり排尿をするだけで痛みを感じるようになります。中には外陰部がタラコのように腫れ、激痛から歩けなくなったり、足の付け根のリンパ節が腫れることもあります。

検査

医師は、水泡を見るとおおよその判断がつきますが、正確な診断をするために血液検査を行う場合もあります。

治療

抗ウイルス剤を局所に塗ったり、内服や注射で全身に投与します。

尖圭コンジローマについて

尖圭コンジローマとは?

ヒトパピローマウイルスがセックスのときなどに感染することで起きます。多くの場合は、性器にイボ状のものが多数でき増えたり大きくなったりします。

症状

潜伏期間は一定ではありませんが、一般的に感染後2~3ヶ月で症状が現れます。女性では外陰部、男性では亀頭、包皮、肛門周辺に弾力性のある小さなイボが出来ます。イボはどんどん増えていき、かたまりが大きくなるとカリフラワー状になります。自覚症状はほとんどありませんが、かゆみやひりひりする感じがあったり、ほてる、性交痛を感じる場合もあります。

検査

性器にできるイボ状のものが特徴で、医者は見て判断するだけでなく皮膚組織を取って顕微鏡で調べることもあります。

治療

治療法は、小さくて少数なら軟膏を塗って治療したり、ドライアイスで凍結させることもあります。 またレーザーや電気メスで焼き切ったり、手術で切除することもあります。完治しにくい場合も多いのですが、治療を中断せず続けることが大切です。

カンジダ腟炎について

カンジダ腟炎とは?

カンジダ・アルビカンス(真菌・カビ)が腟内に繁殖して起こる病気です。健康な時には菌が付着しても普通は発症しませんが、疲労や妊娠などで体の抵抗力が落ちている人、糖尿病や抗生物質を服用した人などがかかりやすくなります。また、季節の変わり目など体に変調が起きやすい時にも発病しやすい病気です。

症状

外陰部にかゆみが生じます。腟内にはカッテージチーズのような白いおりものが増え、外陰部にも付着してただれます。慢性化するとおりものの量は減りますが、外陰部のかゆみや痛みは残ります。

検査

綿棒などでおりものを少し取り、培養検査を行います。

治療

腟に抗真菌性の坐薬を入れ、外陰部に同じく抗真菌性の軟膏を塗ります。症状は3日くらいでおさまりますが、カンジダ菌はまだ腟内に残っており約1週間は治療を続けなければなりません。

トリコモナス腟炎について

トリコモナス腟炎とは?

寄生虫の一種であるトリコモナス原虫が、セックスによって腟内に入り込むことによって起こる病気です。また、この病気にかかると腟の自浄作用が低下して他の感染症に 感染しやすくなります。

症状

外陰部にかゆみが生じ、黄色っぽいおりものが増えます。おりものは、緑色っぽくなったり泡状になったりすることがあり、いずれもきつい匂いがします。外陰部がただれ、腟壁に出血が見られる場合もあります。病気が進行すると、尿道炎や外陰炎を起こし排尿の時や歩くときに痛むようになります。

検査

おりものや尿を顕微鏡で検査して原虫の存在を確認します。 この病気はクラミジアの逆で、男性にはほとんど自覚症状がありません。このため、感染していると気づかないままに女性に移していることも多いのです。女性の側に感染が確認された場合は、必ずパートナーにも検査を受けてもらってください。

治療

フラジール(メトロニダゾール)腟錠とフラジール内服薬の併用で、2週間ほどで治ります。腟のほか尿路に侵入して潜伏することがあるため、腟錠だけでなく内服薬も必要になります。男性は内服薬の服用のみです。男性には自覚症状が乏しいので、女性自身が留意して、必ず2人揃って治療を受けてください。そうしないとピンポン感染していつまでも完治しません。

梅毒について

梅毒とは?

梅毒は、トレポネーマの感染により発症します。以前は代表的な性感染症でしたが、抗生物質のお陰で最近では全性感染症の中で約0.8%と発病率は低くなってきました。梅毒は、セックスやキスの時に皮膚や粘膜の小さな傷から感染します。又、輸血から感染することもあります。母親が感染していると胎盤を通じて胎児にも感染します。

症状

潜伏期間は10日~90日間と言われています。普通は3週間前後で症状が出ます。症状は、第1期~第4期に分類されます。
■第1期:
感染して3週間後にトレポネーマが侵入した局所に初期硬結が生じ、硬性下疳と呼ばれる潰瘍に進展します。硬性下疳は周辺が隆起し、全体に軟骨のような硬さがあります。病変のわりには、痛みはありません。数週間で消えてしまいますが、瘢痕は数ヶ月残ります。
■第2期:
感染後3ヶ月ころから、トレポネーマが局所から血行性に全身に広がり梅毒疹が生じます。梅毒性バラ疹、丘疹が全身に出現します。また、梅毒性脱毛も発症し頭毛が不均一に抜けるという特徴もあります。症状は数週間から数ヶ月続きます。
■第3期:
感染後2年~3年を経過すると、筋肉、骨、内臓などに梅毒によるゴム腫と呼ばれる結節ができ、次第に大きくなります。
■第4期:
感染後10年以上を経過したもので、心臓血管系、中枢神経系が侵され、大動脈中膜炎、大動脈瘤、痴呆、進行麻痺などの症状が現れ、ときには死に至ることもあります。

検査

梅毒かどうか血液検査で確認します。但し、血液検査は感染してから6~8週間経過しないときちんとした判定が出来ません。

治療

抗生物質の内服や注射で治療します。